幸せになっていいですか
「一哉。真理ちゃんのこと、昔から好きだったんだろ?」

「ああ。気になったのは真理が入社したころかな・・・」

「真理が18歳の時だったかな・・・」

「お前10年思ってたのか!」

「兄貴。やっぱ病んでたな・・・」

「お前な。俺だってあの時は遊びまくってたからな・・だから・・声もかけなかった・・・」

「それに・・あの結婚話だろ・・・」

「俺もあれにはまいったよ・・誰の彼女だと思ってんだよって思ったからな」

「俺も大変だったぞ、どれだけお前らの仲裁に入ったか・・」

「智哉とは喧嘩だし、沙紀には泣かれるし、俺だって被害者だぞ」

「だよな・・政略結婚・・二度と御免だな」

「真理も傷つけたし・・・俺も壊れかけた・・」

「あの時の一哉は見てられなかったな・・会社でも・・家でも・・」

「でも真理が受けた傷よりずっとましだよ」

「金も権力もあっても、真理をどうすることもできなくて・・5年経ったもんな・・・」

「良樹さんも後の整理で大変だったもんな・・」

「責任取って辞めたのにな・・また復帰って・・俺も最初は困ったよ」

「加奈子さんもビックリしてたでしょ」

「内密に動かなければならなかったから、加奈子には本当に悪いことしたよ」

「ほんと親父たちには苦労するわ・・・」

「確かに・・・」

「俺だって普通のバー経営者でもよかったのに・・・」

「今じゃ取締役まっしぐらだもんな」

「一哉。お前これからどうるんだ?」

「俺?さぁ・・社長退いたし・・」

「じゃ 兄貴交代な」

「はぁ~!知るかそんなこと」
 
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