幸せになっていいですか
電話が鳴った。社長室に来てくれと連絡が入った。

部屋へ行くと、ソファーに彼女が座っていた。

「一哉さん。すいません。会いに来ちゃいました」と彼女が言った。

私は一哉の後ろに立ち彼女の様子をうかがった。

「あの・・後ろの方は・・」

「紹介します。僕の婚約者です」

「初めまして、西田と申します」

「・・・わかっています。真理さんですよね」

「はい・・そうです」

彼女が突然私に言ってきた。

「あなたに一哉さんは渡さない・・・」少し低めの声で言ってきた。

その言葉に一瞬みんなが黙ったが、私は彼女に言った。

「失礼ですが、お名前を教えてくれませんか?」とやさしく言った。

「松本絵里です」

「では・・絵里さん、何故一哉さんを渡さないというのかしら?」

「あなたとはつりあわないからよ」

「じゃ絵里さんなら大丈夫ってことかしら?」

「ええ。父もそう言ってくれてます」

「そうですか・・・でも私達が婚約してると言ってもあきらめませんか?」

「はい。あなたに解消してもらいます」

「絵里さん私が別れないと言ったらどうしますか?」

「その時は考えもありますので・・・」

「わかりました・・じゃ・・私は一哉と別れません。というか別れられません」

「どういうことかしら?」

「一哉も私が必要ということです」

その言葉に彼女の顔色が変わった・・・。

「・・・私、今日の所は帰ります・・」

すれ違いさまに言われた・・「覚えておきなさい」

そう言って彼女は部屋を出た・・・。
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