幸せになっていいですか
庭の散歩もあまり長くはできなかった。

寒すぎて、だんだん体が冷えてきたので、ラウンジに行って体を温めた。

お茶をしながらいつの間にか懐かしい話になった。

私と一哉の出会いは入社した頃だった・・みんなの注目の人だったので、

同じ会社の人と言うだけ何でもなかった。

優志と知り合い、一哉を何度か見たが、話すことも無かったし、挨拶するだけだった。

優志との結婚が決まった時は一哉も結婚が決まっていたから、あの時の女子社員は相当ショックを

受けた子が多かった。私もある意味羨ましがられたから・・・

その後・・事故があって、私は変わった・・誰も何も言ってこなくなった。

噂で一哉の婚約もなくなったって聞いたけど、単なる噂だと思っていた。

それから時間が経って・・・あの休憩室の出来事・・・。

私達の出会いってほんと優志があの世で仕組んだのかって思った。今更だけどね。

一哉は私の言葉を相槌を打ちながら聞いていた・・・。

「真理、俺は初めて見た時から気になっていたよ・・・」

やさしく笑いながら言った。

でも幸せにできないと思って何も言わなかった・・・。

新藤の名前が重荷になっては可愛そうと思って言えなかった・・・。

優志の彼女になった時は、さすがにショックだったと言った。

同時に沙紀との婚約・・・。あの時は相当荒れたと自分でも驚いたと言った。

そして優志の事故・・・。あれにはもう何もできなくて、完全に壊れたと言った・・・。

家族もかなりもめたしな・・・と苦笑いをしていた。

それからあの場所で真理に会った・・・。

俺は真理の変わりように何も言えなくて、ただ力になりたいそれだけだった・・・。

俺じゃ、優志の代わりはできない。ずっとそう思っていたからな・・・

と少し悲しそうな目をしていた・・・。

私はただ黙って聞いていた・・・。




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