幸せになっていいですか
「どういうこと?」

「何もかも捨てて真理と普通の生活をしようと思ったんだ」

でもそれはできなかった・・・と苦笑いした。

「智哉さんや良樹さんだけに背負わすなんてできなかったんでしょ?」

「ああ・・・」

「それに加奈子も身内になったし、沙紀だっている・・・」

「そう・・真理にも肩身の狭い思いはさせなくて済むって思ったんだ」

「一哉らしいね・・・」

お互い顔を見て笑った。

「じゃ・・私のことだけど・・・私ね・・」

あの夜の後の話をした。

出会って、良樹さんのバーで会って、そこから行ったあの公園・・・

あの時すごく楽しかったの・・一哉が傍にいてくれた時、優志のこと忘れてた・・

あんな気持ちは初めてで、あれからは大変だった・・。

自分の気持ちとの格闘に・・・って少し照れながら言った。

でも良樹さんと加奈子があの時押してくれたから・・・

一哉も押してくれた・・・そこから一気に進んだ。

そこからはあっと言う間だった。

一緒に住んで、プロポーズされて、籍を入れて・・結婚発表・・・

私にとってこの数か月はとにかく短かった・・・。

そして今日・・・

誕生日が終わり一哉と過ごしてる。

「もっと早くに出会ってたらな・・・」と一哉が呟いた。

「いいえ。この出会いだったからよかったの」と笑って返した。

「そうかもな」

両手広げておいでと言ってくれたので、思わず飛び込んだ。

「今夜は楽しいもうな」とやさしくキスをしてくれた。

キュッと力を込めて抱きしめて返した。

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