幸せになっていいですか
「ところで真理、いつまでおるんや?」

「日曜日に帰る」

「真理、もっとゆっくりしていいよ」

「でも仕事もあるし、それに父さんも母さんも来るでしょ」

「行くのは、今月末になると思うわ」

「一哉はどうするの?」

「明日帰るよ」

「じゃ日曜日でいい」

「今度はいつ帰れるかわからないから、ゆっくりしたらいい。
仕事は何とでもなるから有給消化したらいいよ」

「・・・わかった・・考える」

「ということなんで、お父さん、お母さん、真理を好きなだけいさせてあげてください
お願いします」

「そうよ。一哉さんが言ってくれてるから。好きなだけいなさい」

「・・・はい」

「お父さん、お母さん、今夜突然お邪魔していきなりですが、見せたいものがありまして」

「何だ?」

一哉が1冊の手帳を机の上に置いた。

傷だらけで古びた手帳・・・見覚えのある手帳・・・優志の手帳だった。

「これは優志君の手帳です。今更ここで見せるとは何故かと思いますが、優志の両親が
僕に渡してきました。真理さんが結婚したら渡そうと・・・。真理、中に書いてあることを読んだら
いい。みんなのことが書いてある」

手帳を手渡された。

優志の手帳・・・。あの時の・・・。手が震えて開けない・・。

震える手の上に一哉の手が置かれた。

「大丈夫。開けて見たらいい」

震えながら手帳を開いた。
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