幸せになっていいですか
一哉を見送った後、家に帰り、家族で食事をした。

その夜、桜さんは実家から帰ってこなかった。

久しぶりの家族だけの食事だった。何年ぶりだろう・・・。

リビングで涼介と二人で飲んだ。

「真理お前ほんまに愛されてんな」

「でしょ・・いい男でしょ」にっこり笑った。

「真理!お前その顔なんや!」

「変?おかしい?」

「その顔は一哉君の前だけにせえ・・あほか」

「あら・・色気あったかな」

「お前に色気なんてあるか。食い気やろ」

「涼介・・・しばくよ」

「その迫力も一哉君の前でやってみ。思いっきり引きよるわ」

「もうやったから大丈夫」

「・・・ぼろは隠せ~」

「無理やわ。私は私やもん」

「せやな・・・それが真理やな」

「そう・・これが私」

「あのな真理・・」

「ん?」

「一哉君、自分を責めてへんか?」その言葉に顔が固まった。

「・・・多分・・そうと思う・・」少し俯いた。

「やろうな・・・」タバコに火をつけてため息をつくように煙を吐いた。

「涼介・・・何でそう思ったん?」

「お前と結婚したからや」

「・・・」声には出なかった・・・やっぱりと心の中で呟いた。

「大事な親友の彼女から幸せを奪い、親友は事故死、そしてその彼女を愛してしまった。
あの性格や・・・相当苦しんでるやろな・・今でも・・真理には見せへんやろうけど・・・
優志君にずっと謝りっぱなしとちゃうか・・・」

ただ黙って聞くことしかできなかった・・・。







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