幸せになっていいですか
「どうしたのこんな時間に?」

「こんな時間しか話できないでしょ」

ベットにならんで座った。

「真理・・帰りたくなった?」

「え?」

「さっき聞こえたから・・」

「はずかし・・忘れて母さん」

「帰りたかったら帰ったらええんよ。それが今の気持ちなんやから。
真理・・昨日な一哉さんと少し話したんよ・・・」

「いつしゃべったん?」

「真理がお風呂の間」

「で?何て?」

「真理と結婚できたことが幸せだと言ってたわ。ものすごいお礼を言われたんよ。
お父さんも泣いてたわ・・・だから手帳のことが気になったんよ。
優志さんのことだけど・・・真理も被害者・・・でも、一哉さんも被害者なんよ。
親の勝手で自由を奪われ・・真理言わんでもわかるよね。
真理は女やから何とでもすればいいかもしれない。
でも一哉さんは背負っていくものがあった・・・。だから何もできなかったんよ・・・
婚約者の方も相当苦しんだと思うわ・・・。今は弟さんの奥さんでしょ?」

「沙紀に初めて会った時は謝られた。でも思い出にしたからと言った・・」

「真理、好きな人を失っても今はこうして生きているでしょ。
お母さんが言いたいのは、一哉さんをしっかり守ってほしいこと。
優志さんに心配させるような生き方を二人がしないこと。
優志さんが任せた一哉さんと結婚したんやからね・・・。
あなた達が幸せな家庭を築けばみんなが安心するから。
それと真理だけが苦しんだんじゃない。一哉さんも苦しんだ
そのことを忘れないように・・・。
真理それと・・・いい子に育ってくれて本当にありがとう・・・」そっと抱きしめてくれた。

「母さん・・」溜まっていた涙が溢れてしまった。

私も、お父さんとお母さんの子に産まれてよかった・・・心からそう思った。

「ほら・・泣かないの」自分も涙目になりながら涙をそっと拭ってくれた。

「そうや、お父さんがね、結婚前日に挨拶はやめてくれと言ってたわ」

「行こうと思ったのに・・」

「お父さん逃げてしまうよ」

「その時は捕まえとって母さん」

「わかった。まかせとき」とポンと胸を叩いていた。

部屋に帰ろうとする母さんを止めた。

「お母さん今晩一緒に寝てくれる?」

「え?こんな大きい娘と?」

「ええやん子供の時みたいにお願い」

「はいはい」

ベットに入ってもいろんな話をした。

母さんの独身時代の話には驚いた。母さんも父さんと結婚する為に相当なことをしたらしい・・

私はやっぱり母さんの子だと思った・・・父さんと母さんの恋愛も激しかった・・・。

この話は二人だけの秘密になった。

話ていくうちに寝てしまった・・・。
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