幸せになっていいですか
一哉が話始めた。

「真理・・・4月に入ったら優志の墓参りに行かないか?」

式前に行こうと思っていた。実は一人で行くつもりでいた。

「いいよ。時間が決まったら教えて」

「ああ」

昨日の今日だから話ずらいのか、会話が続かない。

「ねぇ今夜はどうする?」

「上で食べたらいいよ。買い物もいってないだろ?」

「そうだね・・・一哉・・今から出かけない?」

「・・・何処に」

ゆっくりしようと言ってたのに反対のことを言ってしまっている自分に可笑しいが、

一哉の今の雰囲気じゃ息がつまりそうな気がした。

「・・・あ!あの公園!」

「え?今から?」

「ちょっとお散歩行こう。さぁ!行こう!」

私と一哉が初めて一緒に行った公園。あの時のあの場所。

今日は私が運転して、あの初めて行った公園に向かった。

あの時のようにレジャーシートとブランケットを持って。

まだ少し寒いけど、天気はいいし、お花見気分で向かった。

あの芝生にレジャーシートを敷いて座った。

今日は小春日和なのか暖かく感じた。

何も言わずただ横に座っていた。一哉はあの時みたいにゴロンと横になり空を見ていた。

あの時もこんな感じてぼーっとしてたなと思いだしていた。

私も一緒に横になり空を見上げた。

「綺麗・・・」自然と言葉が出てしまった。

こんなこと自分が言うなんて思ってもいなかった。今までなら空を見ても優志を思いだしていた。

泣きながら見上げることの多かった空。今は笑って見ることができる。

それも一哉のおかげ。苦しくて辛くて寂しい気持ちから救い出してくれた人。

感謝してもしきれない・・・

横を見ると何も言わずただ空を見上げていた。目は何か言っているように見える。

もしかして・・・優志に何か言っているのかも・・・

今は何も言わずそっとしておこう・・・。
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