幸せになっていいですか
唇が離れた瞬間、お互いの顔を見て笑った。

「いい年してここで何やってるんだろうねぇ~」

「たまにはいいだろ」

「たまににしてね」

「いや・・いつもするかも」と顎に手を当てたので抓った。

「痛て!」

「もう終わり。隣がいるでしょ」小さい声で言った。

「見せつけてやったら。大人のキスを・・・」

「あほ!調子乗ってたら・・・しばくよ」

「・・・やめときます」とくすっと笑った。

私の言った言葉が隣りのカップルが聞いていてビックリしていた。

関西弁で彼にむかってしばくと言ったら誰だって驚くかも・・・でも一哉が笑っていたから

それもおかしかったのかもしれない。

仲良く手を繋ぎ「帰ろっか」と言ってその場を後にした。

隣から「あのカップルみたいになれたらいいね・・・」と聞こえた

ちょっと恥ずかしかったけど、うれしかった・・・

全く知らない人なのに幸せになってほしいと心から思った。

一哉の横顔を見て安心した。もう大丈夫・・・

空を見上げて優志に言った。

優志・・・これで安心してね。私達もう大丈夫だから・・・

後ろからやさしい風が吹いた。

優志・・・ありがとう・・・心の中で返事を返した。

帰りは一哉の運転で家へ帰った。





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