幸せになっていいですか
いよいよ
あの日から一哉の雰囲気は変わったように感じた。

気持ちも落ち着きをみせ、少なくとも前のように悩んだりはしていないように思える。

あれから私はあえて優志のことは触れなかった。

一哉が言ってくるまでは、何も言わないでいよう・・・そう心に決めていた。

3月も終わりが近づいてきた。来月はいよいよ結婚式・・・

ドレスも届き、家の一室だけが華やかさが増してきている。

その部屋を見ながら少しずつ緊張していく自分がいた。

籍は入れているのに、緊張している自分が可笑しくもあった。

両親もすでにあのマンションに来ている。

そろそろ挨拶へ行こうかと悩んでいたが、前日にしないと父が逃亡しかねないと母が言いだした。

娘を持つ親の気持ちをわかってあげてという言葉を言われた。

私も今週末から休みをもらっている。休み中は両親に親孝行をしようと考えていた。

カレンダーとにらめっこしていたら、一哉が帰って来た。

「真理ただいま・・・あのな・・・今週の土曜日休みになったから」

「え?打ち合わせは?出張は?」

「智哉が行ってくれることになった・・・だから優志の所に行かないか?」

「休まなくていいの?疲れてないの?」

「優志に早く報告したいからな・・・」

「わかった。じゃ土曜日ね」私はそれ以上何も言わなかった。

一哉の体調が一番心配だった・・・最近は忙しく、ろくに寝てもいない。引き継ぎと就任の件で

出張と会議でいつか倒れるんじゃないかと心配もしていた。

それでも一哉が行くと決めたのは自分でも決心がついたのだと思った。

土曜日か・・・桜が咲き始めているから綺麗だろうな・・・

そう思いながらカレンダーに予定を書いた。
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