幸せになっていいですか

朝、まだすこし怠い身体を起こして、お風呂へ向かった。

今日は優志に会いに行く日・・・

少し熱めのシャワーを浴びて、身体を目覚ませた。

優志・・・一哉の気持ち聞いてあげてね。心に思いながら身支度を始めた。

一哉も後から起きて着替え始めている。今日の一哉も雰囲気は今までよりスッキリした感じだった。

思いの整理がついたのだと思った。

朝食を済ませ、優志の墓地に向かった。

優志の眠っている墓地は桜が満開に咲いていた。

いつ来ても桜の木に見とれてしまう。

優志のお墓の横に咲く桜・・・風が吹くたびひらひらと花びらが落ちてくる。

「優志・・・来たよ今日は一哉も一緒。今日はね・・・結婚式の報告にきたの。

優志の両親も来てくれるの・・・優志も一緒に来てね。待ってるから・・・」

いつものように話かけながら、お墓に花と線香を供えた。

一哉がタバコに火をつけて優志に供えた。

「優志、俺もお前に報告な・・・お前が真理のこと好きなのか？って聞いたよな・・・
俺はお前に嘘をついた・・・ほんとは真理が好きだった・・・今更言ってごめん・・・
お前が死んで真理と今こうなって、俺はずっとお前に謝ってばかりだった。
ほんとなら・・・お前が真理と一緒になってたはずなのにな・・・
あの手帳を見て、俺は衝撃を受けたよ・・・
優志・・・俺に頼むなんて・・・
だから俺はここに誓う。
命をかけて真理を守るから、真理を不幸なことは絶対にしない・・・
優志・・・真理と幸せになることを約束する・・・
だから・・・俺達のこと見守ってほしい・・・」

私の隣で真剣な目をして優志に伝えている一哉を見て、涙が溢れた。

「優志・・・一哉と幸せになっていいよね・・・」自然と言葉が出てしまった。

その言葉に一哉が私の肩をそっと抱いた。

後ろから風が吹いた。一瞬優志がここにいたように感じた。

花びらが風と一緒に舞った。

「優志・・・」空を見上げて名前を呼んだ。

「あいつ・・今ここに来たかもしれない」一哉も感じたみたいだった。

「きっといたよ」

「じゃあな優志。また来るから」最後の言葉を交わして墓地を後にした。

これでやっと一哉の心の中が落ち着いたと思えた。