幸せになっていいですか
「真理、父さんどうすんねん」

「前日に行くよ」

「よっしゃ。じゃ時間言ってくれたら俺らは出かけるわ」

「ごめんな・・涼介、桜さん」

「気にしな。真理だって最後の娘孝行しておいで」

「でももうお嫁に行ってねんけど」と笑ってしまった。

「真理・・一哉君のこと大丈夫か?」

「心配してくれてありがとう・・・もう大丈夫。優志の前で誓ったから」

「そうか・・・もう大丈夫やな・・・」

涼介も心配してくれていたんだ・・・いつも口の悪い兄だけど、心配性な所は

昔と変わっていない。そんな兄が私は大好きだった。

「涼介・・・今までほんとにありがとう。私の自慢の兄貴やわ。桜さんも私にとって
大切なお姉さんやから。頼りない妹やけど見守ってな」

改めて二人に伝えると、桜さんは涙目になっていた。

涼介も照れ隠しだったのか、「おぅ」としか言わなかった。

「そろそろ帰るか」

「桜さん身体は大丈夫?」

「ありがとう・・・真理もあと少しやねんから、あんたも気つけときや」

「そやね」

「じゃまた時間決まったらメールくれな」

仲良く手を繋いで二人は帰って行った。

桜さんに会わせて涼介がゆっくり歩く後ろ姿が見ているだけで幸せに感じた。

私もいつか・・・ってまだ先だけどと思いながら、一哉の帰りを待っていた。

< 302 / 329 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop