幸せになっていいですか
買い物の途中で一哉が言った。

「真理、式の後はホテルに泊まるから」

「へ?仕事は?」

「次の日は日曜日だろ」

「わかりました。用意しておくね。明日はお互い実家に帰るし・・・今夜はどうする?」

「真理のご飯が食べたい」

「何作る?」

「和食」

「了解」スーパーで一哉の食べたいものを聞きながら材料を買って帰った。

夕飯の支度をしながら、一哉がソファーでテレビを見ている姿をじっと見ていた。

(何かいいなこの感じ・・・)

一哉が自宅でゆっくりのんびりしている姿をあまり見たことが無かったせいか、新鮮に感じた。

「ん?何見惚れてる?俺に」視線を感じたのか、いきなり言ってきた。

「え?は?って何かいいなって・・・」ビックリして顔が赤くなった。

キッチンに入ってきて後ろからそっと抱きしめてくれた。

「真理・・・可愛い」耳を甘噛みされた。

「あ・・料理できなくなるから」

「後でいいよ・・」

「だめ・・食べれなくなるから」一哉の腕を軽く叩いた。

「俺は・・真理が食べたい」さっきより腕に力が入った。

「今はあかん。後で待っといて」

「後でっていったな」笑みを浮かべてそっと離れた。

しまった・・・

「じゃ今夜寝かさない」と耳元で言って出て行った。

一哉の罠にかかってしまった・・・・。

逃げる方法を考えながら夕食に支度の続きをした。












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