幸せになっていいですか
夕方、食事の用意も終わり、父さんを呼びに行った。

父さんは椅子に座り本を読んでいた。

「父さん・・ご飯たべよ」

「・・わかった。」

中々腰を上げなかったので、近くまで寄って後ろから抱き付いてみた。

「何や。真理、小さい子供とちゃうぞ」

「父さん・・いつまでたっても私は小さい子やで」

「じゃ結婚せえへんやろ」

「そやね。でっかい娘になってしまったわ」

「もうおんぶはできひんな」

「おじいちゃんになったら私がしてあげる」

「あほか。まだまだ真理には世話にならん」

「そうやね。いつまでも元気で素敵なパパでいてね」

「パパって・・久しぶりやな・・・」

「そうや。家出娘以来かな?」

「・・・真理・・なんもしてやれんでごめんな」

「何言ってんの!どれだけ自由に生きさせてもらっているか。こんな幸せな娘そんじょそこらに
おれへんよ。父さん・・・私今めっちゃ幸せやし、父さんと母さんの子供い生まれてどれだけ・・・
幸せか・・・父さん・・・ありが・・とう・・」

「真理・・泣くな・・父さんどうしていいかわからんやろ・・」

「ごめん・・最近涙もろいねん・・あかんな」

「一哉君と幸せになるんやで・・」

「任せて、父さんと母さん以上に幸せになるから。父さん今まで・・・ありがとう」

「ああ・・・」

「さぁご飯にしょう」

父さんの少し赤くなった目を見ながら部屋を先に出て行った。

後から何も無かったように父さんが部屋から出てきた。

ダイニングで母さんが優しく笑っていた。

3人での食事が始まった。
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