幸せになっていいですか
「真理か?」

「当たり前でしょ」

「真理~綺麗ね・・・涙が・・・」

「桜さん・・・」

「ほらほら父さんも」

「お・・・きれいだな・・・」

「ありがとう」

「涼介、一哉は?」

「お前凄いかっこいいぞ。惚れ直すかもな。それにみんなが一哉君みてキャーって言ってたわ」

「はいはい・・かっこいいには当たり前。キャーは慣れたわ」

「まぁ連れて来るから待っとけ」

「真理を見たほうがもっと驚くわよ」加奈子がこそっと言った。

「連れてきたぞ」と一哉の両親と一緒にみんなが入って来た。

「・・・・真理・・・」一哉はそれ以上言わなかった。

「真理さん。何て綺麗な花嫁さんなの」一哉のお母さんが寄って来た。

「兄貴・・・今日一番の花嫁だな」

「一哉、隠そうと考えてないか?」

「は?ばかか・・・自慢してやるよ親父」

みんなが一斉に笑った。

みんなそれぞれ出て行き、父さんと二人だけになってしまった。

「父さん、今日はよろしくね」

「・・・ああ」

「父さん・・・ほんとにありがとうね」

「もう言うな。これ以上言われたら逃げるぞ」

「あかんよ・・」

「一哉君と幸せになるんやで・・・」

「うん・・」

「ほら。せっかく綺麗やのに泣くな」

「だって・・父さんが・・・」

「ちょっとタバコ吸ってくる」そう言って出て行った。

この空気が嫌だったのだろう・・・父さんは寂しいって言ってたから・・・

窓の外を眺めながら時間を経つのを待っていた。
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