幸せになっていいですか
手紙を読もうとしても涙で読めなくなってしまった。

その姿に一哉がそっと腰に手を添えてくれた。

耳元で頑張れと言ってくれた。

「父さん・・・母さん・・・感謝すること、謝ること、いっぱい伝えたいこと・・
がありすぎて・・・何を書けばいいのか悩みました。
始めに言えることは・・・私を産み育ててくれてありがとう・・・
私は父さんと母さんの娘で幸せです・・・」

涙が溢れて文字が読めなくなってしまった・・。

一哉が「少しだけでいいからがんばって」と励ましてくれた・・

うんと頷いて、手紙の内容じゃなく今の気持ちを伝えた。

「父さん、母さん、家出して・・・今まで散々心配かけて・・・ごめんなさい・・・
今はこうして一哉さんと新たに人生を歩んでいます・・・どうか心配しないで・・
・・・私・・今・・とても幸せです・・・」

泣き顔だけど、思いっきり笑って見せた。

父さんも母さんも目に涙が浮かんでいたが笑ってくれた。

父さんのあいさつも終わり、一哉が最後に挨拶することに・・・

「本日は私達の結婚式に・・・」始めは当たり前の挨拶だった。

途中で優志の話を言った。

「本当ならあの事故が無ければ真理は僕とは結婚してませんでした。運命の一言で片付けて
しまう事はいけないかもしれません。ですが今こうして僕は真理さんと結婚しました。
優志君の御両親、真理さんの御両親、私の両親に誓います。真理さんをずっと幸せにします。
そして天国にいる優志にも約束します・・・」

その言葉を聞いて驚いてしまった。

「まだまだ若輩者の二人ですが、頑張っていきますので、どうぞよろしくお願い致します。
これで私の挨拶とさせて頂きます。本日はありがとうございました」

一哉が頭を下げると、みんなからの拍手が鳴りやまなかった。

心の中で優志に伝えた・・・

(優志・・・幸せになるから・・・約束するね)

長かった披露宴もやっと終わった・・・。
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