幸せになっていいですか
1階に着くと、エレベーターの前で待っていてくれた

「お待たせしました」

「待ってませんよそんなに」

車まで歩きながら、ふと思い出した。

(この間のドライブ・・・楽しかったな・・・今も何かうれしい)

「真理さん?真理さん?」

「あっ。すいません」

自分の気持ちに驚き、その場て止まってしまっていた。慌てて車に乗り込んだ。

「家はどこですか?」

「あっそうですね。住所は・・・」

「じゃ加奈子さんの家の近く?」

「そう。加奈子家の裏のマンションです」

「あの辺って高級住宅地じゃなかった?」

「はい。親が持っているものなんで・・・」

「真理さんってもしかしてお嬢さん?」

「昔の話です」それ以上言わなかった。

親とは絶縁中だったから・・・

無理やり結婚させられそうになって、家を出てこっちに来たことは誰にも言ってない

加奈子にも良樹さんにも・・・優志にも・・・

帰らない条件にこのマンションに住む。それが親との最後の約束。

この家を早く出ていきたい・・・。

「夕ご飯は?」

「軽く済ませようと思って。あまり食べたくないんです」

「だめですよそれじゃ。じゃちょっと寄り道しますね」

誰かに電話した。

「じゃ 20分後で」そういって切った。

少し車で来た道を戻った。いつも泊まるホテル・・・

玄関先に袋を持った人が・・・

「新藤様お待たせ・・・って人を使うな!」

「わりい。」

「彼女か?」

「・・・・・」

(彼女と間違えてる?あの人誰だろ・・・)

「こんばんは。大学の時の同級生の金田と申します」

「こんばんは」

「じゃ またな ちゃんと食えよ。また泊まりに来いな」

(もう泊まってないんだ・・・一哉さん引っ越したんだ)

「ああ。ありがとな」

袋をもらって、車を走らせた

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