幸せになっていいですか
レストランに入って注文している時、ワインも注文した。

(飲まないと話が聞けないわ)

一哉さんは微炭酸のミネラルウォーターを頼んだ。

一哉さんは、「どうそ。思う存分飲んでください」と笑った。

(今夜はヤケ酒だわ・・・飲んでやる。)

「飲んでもいいけど、食べないと」

「わかってます」

ワインが運ばれてきて、料理も並べられた。

「じゃ乾杯」食事が始まった。

食べながら、飲みながら、おしゃべり。いつもよりお酒のペースが速くなり、量も増えてくる。

(さっきの発言からまだ気持ちが収まっていないから・・ちょっと怒りも・・)

「一哉さん。なぜあんなことしたの?」

「聞きたいですか?聞いて後悔しませんか?」

「はぁ?後悔。どんな?」

(喧嘩売ってるみたい・・・ちょっと酔ってるかな?)

「あなたのことすべてを愛してしまったから」

「すべて・・・え?・・・」

「そう全部」

一瞬にして酔いが覚めていく。

(優志のこと・・・)

「今、優志のこと考えてる?」

「えっ?」(ばれてる・・・)

思わず俯いてしまった。

「優志をまだ思っていてる真理さんでも愛してしまったから。こんな俺でもいいかな?」

「・・・・・」

沈黙が続いた・・・。

「聞いて後悔した?」

「・・そんな・・・」

顔を上げるとやさしい顔でこっちを見つめていた。

「こんな私でも・・・いいですか?一哉さん傷つ・・」「ストップ」

そっと手で口元抑えて話せないようにされた。

「もちろん。それ以上にあなたを愛していますから。」

「・・・一哉さん」笑顔で答えた。

お店を出た時には肩を抱かれても嫌な気ひとつなかった。

< 54 / 329 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop