幸せになっていいですか
鍵を開けて玄関に入った。

玄関に飾っていたものが無くなったせいか、殺風景な感じだった。

そのまま寝室へ行って、ベットに転がった。

もうすぐ彼が来る。いそがなくては・・部屋着に着替えて、ふだんの自分に戻る。

「これでよし」両頬をたたいてからリビングへ向かった。

床に座って、ソファーにもたれながら天井を見た。

目をつぶりながら、私の気持ちに問いかけた・・・

(優志・・・あなたのすべてを思い出にさせてね。
 もう後ろは見ない・・・ここでさよならさせて。
 優志・・・一哉さんのことを好きになってしまったの
 彼とこれからがんばるから・・・優志・・さよなら・・)

目を開けても涙は出なかった・・・そして気持ちもスッキリした自分になっていた。

インターホンが鳴った。オートロックを解除し玄関まで迎えに出た。

ラフな格好の一哉さんがいた。

「いらっしゃい」

「おじゃまします」ちょっと不安そうな顔をしていた。

リビングにあるたくさんの物をみて・・・

「これ整理するの?」

「はい。もちろん」

「できるの?」

「もう。何もいらなくなりました」

「え?」

「もうさよならしましたから・・・」

その言葉に一瞬疑いを持った顔をしてしまった




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