幸せになっていいですか
「後悔してないか?」

「後悔って?」

「これだけの思い出・・・そう簡単には無理だろ」

「はぁ~・・・。一哉さん。私に忘れるなと言いたいの?」

「そうじゃない。ただ無理はしてほくないんだ」

「ゆっくりでいい。急がなくていい」

「これでもだいぶゆっくりでしたよ。みんなに迷惑散々かけて」

「それに・・・もう・・・心の中の優志とはさよならしましたから」

「さよなら?」

「もうここにはいません」自分の胸に両手を置いて笑った。

「真理さん・・・ごめん」一瞬疑ったことに後悔した。

「さぁ片付けますね。」

「これどうするの?」

「捨てます」

そう言って、荷物を全部袋に入れた。

部屋の中から優志のものが無くなった・・・。

シンプルな部屋になってしまった。

「お手伝いありがとうございました」

「何もしていませんが。」

「お祝いにビール飲みませんか?」

「お祝い?何の?」

「一哉さんとのスタート記念日」

「ふ~ん」

「それと、私の卒業記念日」

「卒業?優志に?」

「はい」

キッチンからビールを持ってきた。

「じゃ乾杯。これからよろしくお願いしますね。一哉さん」

「これからもよろしく」

二人同時に笑いながら飲んだ。
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