幸せになっていいですか
「一哉ありがとう。すっきりしたぁ~」

「こっちにおいで」と呼んだので座った。

そっと肩を抱いてくれた。何も言わず、髪を撫でている

「一哉」

「んー?」

「これから私が話すこと、驚かないでくれる?」

「優志のことか?」

「・・・優志も・・加奈子も・・良樹さんも知らないこと・・・」

「わかった・・・」

「私、前に親と絶縁中と言ったよね。私・・実は、家出したからなの。
 だけど、今は、たまに連絡がある。母と兄からは・・・近況報告ってことで・・・。
 私は何も報告も話していないのに・・・
 私がいつ誰と付き合っているかすぐにわかってしまう。もちろん優志のことも。
 いろんな手をつかって調べて来るから父は・・だから一哉、あなたのこともいつか分かってしまう・・
 実は・・私の家、関西じゃちょっとは有名なの・・・」

「西田・・・もしかして・・あの西田貿易?」

「そう。私、そこの娘・・・」

「そうか・・・」

「私はあの家が苦しくて家を出た。政略結婚させられそうになって、高校卒業してすぐに
 家を出た。大学なんて行かなかった。勝手に就職先も決めた。何もかも反対のことをした。
 すぐに捕まえにきたけど、私は帰らなかった。だから勘当されてしまった。
 とりあえず帰らなくていいよう、あの家に住む条件でここに残った。
 だから、仕事も、何もかも頑張った。負けないように・・・
 何を言われてもはずかしくない自分になりたかった・・・」

だんだん話をするたびに自然と涙がでてくる・・・

「今までだまっててごめんなさい。すぐに話せばよかったかもしれない。優志にも言えなかったの
 何故か・・結婚も決めたのに中々言えなかった。その後あの事故がおきた。」

「何で俺には言うの?」

「もう隠しても無理と思ったから・・・」

「お互いデカい肩書もってるな・・」

「そうだね・・・私はいらないけどね・・・」
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