幸せになっていいですか
「で、加奈子さんや良樹さんには何故言わなかった?」

「私自信を見てほしかったから。家のことを言えばみんな態度が変わってしまう。
 そんな生活を何度も経験して嫌気がさしていた。だから言わなかった・・・」

「俺と同じだな。好き勝手言ってくるやつばかりだった・・」

「一哉。こんな私でも好きになれる?」

「もう何も言うな。何を言われても俺はお前が好きなのは変わらない。
 俺の今の立場は同じようなものだから・・。
 俺だって跡取りのはずなのに、弟に席を譲った。今は身分を隠してるからな・・
 良樹さんが会社に来たから俺もそのうちばれてしまう・・」

「真理こそ俺でいいのか?」

「私は一哉が好き。あなた自身が好きなの。」

「真理・・・」腕を後頭部にまわしてぐっと寄せてきた。

目が合った・・一哉の目が少し潤んでみえた・・私は目を閉じた・・そっとやさしく唇が触れた・・・。

私の目から涙が一筋落ちた・・

そのまま抱き合って暫く一哉の胸で泣いた。

「落ち着いたか・・・」

「うん・・もう大丈夫」


「そろそろ寝るか」

「うん」

私を抱きかかえて寝室まで行った。そのままベットにそっと寝かせてくれた




 
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