嘘つきなポーカー 1【完】


次の時間は由佳の嫌いな体育の授業だった。

別に運動が特別出来ないわけではないが、嫌いな理由は他にあった。


「おい、笠原~。どんくさいなぁ。」

「ちゃんと前見ろよー。」


クラスの女子が由佳に向かってバスケットボールをぶつけながらそう言う。

いつもこうだ。

先生にも気付かれにくく、自由に動くことのできる体育の時間はどうしてもいじめられやすい状況を作ってしまう。
これなら、退屈だけれど大人しく椅子座っていれば済むだけの授業のほうがずっとかマシだ。

由佳はそんなことを思いながらも、ただじっと黙っていた。


反抗したところで、一体何になると言うのだろう。





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