嘘つきなポーカー 1【完】
そこに居たのは薫だった。
「もう、驚かさないでよ。」
由佳はため息をつきながら言う。
「何してんの、こんなところで。」
「別に何もしてないよ。」
「ふーん。」
薫は興味なさそうにそう言うと、由佳の荷物を奪い、自分の自転車の前かごに乗せた。
「さて帰るか。」
「あ、ちょっと。待って!」
「てかお前先帰ってんじゃねーぞ。」
不機嫌そうにそう言う薫に、由佳は言い返す。
「待ってたけど、あんたがいつまで経っても来ないから帰ったんじゃん。文句ある?」
「はぁ。相変わらず可愛くねぇ奴。」
「はぁ?」
薫と話していると、どうもムキになってしまう。
薫は由佳の感情の波を立たせるのがどうも得意なようだ。