嘘つきなポーカー 1【完】


夏休みは、家でゆっくりするつもりだった。

日頃の学校での喧騒から離れて、誰にも邪魔されない場所で、悠々と自分の時間を過ごすのだ。


だが由佳は悶々としていた。

いつもなら集中してすぐにやってのける宿題も、今はすぐに集中力が切れてしまい、なかなか進まない。


「んああああぁー」


由佳は奇声をあげた。

この悶々の原因は何であるか、由佳にははっきりと分かっていた。


「何なの、あいつ。意味わかんない!」


由佳はそう言って、携帯をベッドの上に投げつけた。


ここ1週間、由佳の携帯が鳴らないのだ。

あれほど当たり前のように毎日連絡が来ていた薫からの連絡が、夏休みに入った瞬間ぱたりと途絶えたのだ。


「いくら遊びに忙しいからって、あれほど毎日迷惑なぐらい連絡してきてたのに、勝手すぎない!?」


由佳は1人部屋で叫びながら、怒りをぶつけていた。



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