嘘つきなポーカー 1【完】
―――…。
夏休みが終わった。
今日からまた憂鬱な学校生活の始まりだ。
由佳が玄関のドアを開けると、そこには自転車に跨がる薫の姿があった。
「おっす。」
「休み明けの朝からご苦労なこと。」
「せっかく出迎えてやってんのに何だその言い方は。」
花火の日以来、音沙汰が無かった時期が嘘のように、薫からは毎日連絡が来るようになっていた。
連絡が無かったときは久々に見た薫の姿に嬉しささえ込み上げてきた由佳だったが、今となってはそれも昔のことだ。
薫の顔を見ると、つい悪態をついてしまう自分が居る。
それにしても、何であの時小野寺薫は連絡よこしてくれなかったんだろ――…。
不思議に思った由佳は、隣で自転車を押しながら歩く薫に尋ねる。