嘘つきなポーカー 1【完】
「そう言えば小野寺薫さ、夏休み連絡よこさなかった間何してたの?」
薫は呑気そうな顔をして答える。
「あー、実家帰ってた。」
「え?実家って、すぐそこじゃないの?」
薫の言っていたことが理解できずに、由佳は尋ねる。
「俺、一人暮らしだから。」
「え?何で?」
「俺の実家アメリカだし。」
「ふぇ!?」
予想外の回答に、由佳は突拍子もない声を発してしまった。
「あんたって、アメリカ人だったの…?」
薫の顔をまじまじと見つめながら由佳は尋ねる。
確かに人間離れした整った顔立ちだが、アメリカ人だと言われると、少し腑に落ちない。
由佳が難しい顔をしていると、薫は由佳のおでこをピンと指で弾いた。
「ちげーよ。生粋の日本人。でも育ちはアメリカ。」
薫は涼しげな顔でそう言った。
「じゃあ、あんたって英語ペラペラなの?」
「Of Course.」
薫は流暢な英語でそう答えてみせた。
同時に、由佳は絶望を感じた。
そりゃどれほど勉強しても、得意な英語で薫に勝てないわけだ。