嘘つきなポーカー 1【完】
「でもなんでわざわざ一人暮らししてまでこっちの学校来てるの?」
由佳は素朴な疑問を薫に尋ねる。
「んー、俺はアメリカ人と気が合わないから。」
「何それ。ってか日本人とも合ってないけど。」
「うるせーな。いいだろ何でも。」
一瞬、薫の瞳が曇ったような気がした。
由佳はそれが、これ以上踏み込むなというサインだと何となく察したので、それ以上は何も聞かなかった。
だけど由佳は、連絡が来なかった理由は、海外に行っていたからなのか、と思うと、少し安心した。
もしかしたら薫の自分に対する興味が消えたのかもしれない、と考えたことがあったからだ。
何だかんだで、こいつとの時間を楽しんでるのかな――…。
由佳は心の中でそう思った。