嘘つきなポーカー 1【完】
「……。」
「あんたなんか、地味で大して可愛くもなくて頭がいいからっていつも人を見下してるような最低な奴なのに、薫にちょっと優しくされたからって調子乗らないでよ!」
「……。」
「薫は私のものなの!あんたなんかに近寄ってほしくない!!!あんたみたいなくだらない女に薫を取られたくなんかない!!!」
「…ねぇ、遠藤さん。なんかそれ変だよ。」
黙って聞いていた由佳は口を開いた。
「何か文句でもあんの!?」
奈津子は涙を流しながらものすごい形相で由佳を睨む。
「あんたの小野寺薫に対する気持ちも、可愛くなるためにしてきた努力も、並大抵のものじゃないっていうのはよく分かったよ。だけど今の話を聞いてると、まるで自分に自信がないって言ってるみたい。」
「……っ!」
「それは自分に何かが足りないってことを、自覚しているから?」
「…分かったような口を聞きやがって!あんたのそういうとこが本当にムカつくんだよ!!!」
「ムキになるのは、図星だから?」
「黙れ!!!!!!」
奈津子の拳が由佳の右頬に入った。
口の中に血の味が広がった。