嘘つきなポーカー 1【完】


「あんた達、ボコボコにしな!!!」


奈津子は後ろに居た数人の取り巻きにそう言った。

すると奈津子の取り巻きの女子たちが由佳のほうに向かってやって来て、由佳が怪我をしているのも構わずに蹴りを入れた。

由佳はふらついてその場に倒れこんだ。


その瞬間、女たちから容赦ない攻撃が浴びせられた。
倒れこむ由佳の腹を蹴り、顔を踏み、髪を引っ張った。


喧嘩、売らないほうが良かったかな――…。


由佳は殴られながらそう思った。
鼻から血が垂れてくるのが分かる。

だけど何故か少し口ごたえしてやりたい気分になったのだ。

いつもならスルーしていたのに、これもきっと薫のせいでスルースキルが低下してしまったからだ。


「右足、もっかい折っちゃえよ!!!」


狂ったように笑いながらそう言う奈津子の姿が目に入った。


彼女は狂気の中に、寂しさを感じさせる表情をしていた。





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