嘘つきなポーカー 1【完】
「笠原の家までわざわざ調べて、余計なお世話焼いて、よくやるよなそんなこと。」
「私は…笠原さんを助けたくて…。」
華代の言葉に薫はふっと鼻で笑った。
そして鋭く冷たい目つきで華代を見て言った。
「助ける?ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ。」
華代は身震いした。
こんなにも恐ろしく冷たい薫の表情を見たのは初めてだったからだ。
「笠原を助けたい、だけど自分は安全な場所に居たい。そういう都合のいい偽善者が俺は1番嫌いなんだよ。」
「……。」
華代は何も言い返せなかった。
薫の言うことはごもっともだったからだ。
「お前は笠原を助けたいわけじゃない。自分を守りたいだけだ。」
「……。」
「そもそももしお前が奈津子たちの命令に逆らったら、あいつが怪我をすることもなかったんじゃないの?」
「……。」
「お前がやってることは全部自分のためだ。笠原のことなんて考えたことないだろ?」
「…それは違うっ。」
華代の目からはぼろぼろと涙が零れ落ちていた。