嘘つきなポーカー 1【完】
「私は…っ…本気で…笠原さんのことが…っ」
華代はしゃくりあげながら必死に声を出した。
「私は…本気でっ…笠原さんを救いたいと思ってた…の…っ」
「だったら何で自分を守ろうとする?あいつは1人戦ってるのに、どうしてお前はあいつのために一緒になって戦ってあげないんだ?」
「小野寺君には分かんないよ…っ。人気者で、いつも周りに味方がいて、孤独に追い込まれたことのない小野寺君には…っ」
華代のその言葉に、薫の声のトーンが落ちた。
「…分かるよ。俺にだって。」
その目はとてもうつろで、そしてどこか悲しげだった。
「お前がどうしようと俺には関係ないけどさ。そんなやり方じゃいつまで経っても笠原のことは救えないと思うよ。」
薫は言った。
「じゃーね、臆病な華代ちゃん。」
薫はそう言い残して、どこかへ去って行った。
華代は何も言い返せなかった。
きっとそれは、薫の言うことが正しいと自分でも分かっているからだ。
「私だって…強くなりたいよ…。」
華代は涙を流しながら、そう呟いた。