嘘つきなポーカー 1【完】


―――…。


由佳は状況が呑み込めなかった。

何故華代が奈津子に逆らっているんだろう。

そもそも華代は奈津子とグルだったじゃないか。
あの時華代に騙されたせいで、自分は怪我をするはめになってしまったんだから。


「おい木村!邪魔すんじゃねーよ!」


怒り狂った奈津子は華代に向かって詰め寄る。


「遠藤さん、そういうのもう良くないよ。やめようよ。」


華代の声は震えていた。
その様子からして、きっと相当怯えているのだろう。
まるで雌豹に逆らう小動物のようだ。


「偽善者ぶってんじゃねーぞ!あんただってあいつのことを騙したでしょ?」

「もう私は逃げないって決めたの!正しいことは正しい、間違ってることは間違ってるって、ちゃんと言いたいの!」


華代はあふれ出る涙を堪えながら、奈津子を睨み付けた。


「はぁ?!あんたも大概鬱陶しい奴だな!調子乗ってんじゃねーぞ!」


奈津子はそう叫んで、華代に向かって手を上げた。



その時だった――…。


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