嘘つきなポーカー 1【完】
「お前、何してくれてんの?」
その声で、その場にいた人間全員が動きを止めた。
そして全員の視線が声の主のもとに向けられ、その声の主の正体が分かったとき、奈津子とその取り巻きの顔が青ざめていくのが分かった。
「薫…っ!何でここに…」
奈津子の表情は先程の恐ろしい表情から一変し、怯えた表情になっていた。
無理はない。
奈津子に詰め寄る薫の表情は今まで見たこともないほど恐ろしく、冷たかったからだ。
「それは俺のセリフなんだけど。」
その低く冷たいトーンの薫の声に、奈津子は震えあがった。
「違うの…。私、そんなつもりじゃ…」
「なぁ、奈津子。いくらお前でも、俺は容赦しないよ?」
「違う…違うの薫…」
その時、薫が奈津子の胸倉を思い切り掴んだ。
その場にいる人間全員が息をのんだ。