嘘つきなポーカー 1【完】
「そう言えば、木村さんの背中を押したのは小野寺薫だって聞いたよ。」
「あー、まぁな。」
薫は由佳がドーナツを頬張るのをぼーっと眺めたまま答える。
「なんか意外だな。小野寺薫がそんなこと言ってくれるなんて。」
「んー?」
「小野寺薫は他人に興味ないイメージだったから。ちょっとレアな気分。」
「ん。」
「でもよく考えたら小野寺薫も人のこと言えないよね。前は私のこといじめてたし。」
「んー?」
「ねぇ、ちょっと聞いてるの?」
由佳がそう尋ねると、薫は口を開いた。