嘘つきなポーカー 1【完】
「可愛い。」
薫に突然そう言われて、由佳は動きを止めた。
「へ?誰が?」
「お前。」
そう言って由佳の目を見つめる薫の顔はとても綺麗で、由佳は心臓がドクンと脈打つのがわかった。
突然そんなことを言われたものだから、由佳はどんな反応をすればいいのか分からない。
「えーっと…」
「なんかガキみたいで、可愛い。」
薫はそう言って、面白そうに笑った。
「なんだ、そういう意味か。」
「他にどういう意味があるんだよ。」
由佳は少し勘違いしてしまった自分を殴りたくなった。
そして少しドキドキしてしまった自分が憎かった。
薫はこんなにもイケメンでモテるのだ。
きっと女の子の扱いにも慣れているに違いない。
そんな思わせ振りな言葉の1つや2つぐらい至極当たり前のように口から出てくるのだろう。
そう言えば、遠藤さんも小野寺薫とキスもエッチもしたって言ってたっけ――…。
由佳は奈津子が言っていた言葉を思い出した。