嘘つきなポーカー 1【完】
「ねぇ、小野寺薫って遠藤さんとエッチしたんでしょ?」
由佳が唐突にそう尋ねると、薫はアイスコーヒーを吹き出しそうになってむせた。
「おま…っ、突然平然と何てことを聞くんだよ。」
「だって遠藤さんがそう言ってたもん。キスもエッチもしたって。」
「あいつそんなこと言っちゃったのかよ…。」
薫は困ったようにため息をついた。
だが薫は否定はしなかった。
きっと奈津子が言っていたことは嘘ではなかったのだろう。
だけど奈津子は薫に好きになってもらえないと言っていた。
由佳は何故か腹が立ってきて、薫に向かって言った。
「そういうのは、好きな女の子とだけするもんでしょ。かっこよくてモテるからって、最低。」
言ってしまってから、何で自分はこんなに怒っているんだろうと由佳は後悔した。
小野寺薫が誰と何をしようと、自分には関係ないじゃないか――…。
だけどそんな気持ちとは裏腹に、言葉は口からこぼれ落ちる。
「私、そういう男って好きじゃない。」