嘘つきなポーカー 1【完】
「そりゃ悪かったな。」
薫は呑気にそう答えた。
その反応も由佳にとっては腹立たしく、由佳はドーナツを口の中に詰め込むと、立ち上がった。
「もう帰る。」
由佳は席を立って、店を出た。
薫は困った顔をして、由佳の後を付いてきた。
何、あいつ。なんか腹立つ――…。
周りよりかっこいいからって、調子に乗っている薫が嫌だった。
それに傷つけられる遠藤さんのような女の子がたくさん居るのも知らないくせに、と由佳は思った。
「おーい、笠原。笠原由佳。」
先程からずっと由佳の名前を呼び続ける薫を無視してずんずんと歩き続けていた由佳だったが、しびれを切らして言い返す。