嘘つきなポーカー 1【完】
「さーて、いよいよ明日は文化祭だ。みんな頑張って準備するんだぞー。」
ホームルームの時間、担任の渡辺先生はそう言った。
明日は文化祭だ。
各クラスで出し物をするのだが、由佳たちのクラスはコスプレ喫茶をすることになっていた。
由佳は足を怪我をしているのを理由に、コスプレをしなくて済んだ。
この前の奈津子との事件で右足を蹴られたせいで、本来ならもう治っているはずの怪我が少し長引いていたのだ。
由佳は今回だけは少し奈津子に感謝した。
「どう、似合うかしら~?」
「桐島、キモい~!爆笑!」
女装する桐島とそれを見て騒ぐ女子たちを由佳がぼーっと見ていると、目の前に可愛いメイドのコスプレをした華代と王子様のコスプレをした薫が現れた。
「どうかな?」
照れ臭そうにそう言う華代と、その横でダルそうな顔をする薫。
2人ともとても良く似合っていた。
華代はもともと可愛らしい顔をしているし、薫は王子様そのもののような見た目なのだから。
その証拠に、クラスの人たちの視線が2人に注がれている。