嘘つきなポーカー 1【完】
「私が小野寺薫を好き?そんなわけないじゃん。」
由佳が鼻で笑いながら答えると、華代は意外な顔をした。
「えー、そうだったの?なんだ、てっきり2人は両思いなんだと思ってたー。」
「まさか。」
由佳は呆れたようにそう言う。
「由佳ちゃんって、好きな人居ないの?」
「居ないよ。」
華代の質問に由佳は即答する。
「えー、じゃあ今まで好きな人居たことあるの?」
由佳は少し考えた。
「…あるよ。1回だけ。」
由佳が答えると、華代は目を輝かせながら話に食い付く。
「えっ、ほんとに?どんな人どんな人?」
「…昔近所に住んでた、1つ年上の幼馴染み。」
由佳は呟いた。
そして由佳は過去のことを思い出した。
だが途端に虚しさが込み上げてきて、由佳は途中で考えるのをやめた。