嘘つきなポーカー 1【完】


「ふーん。」


答えたのは華代ではなく薫だった。
華代の姿はいつの間にか消え、華代が座っていたはずの向かいの椅子には薫が頬杖をつきながら座っている。


「うわっ、あんたいつから戻ってきてたの。」

「え、ついさっき。」

「華代は?」

「今さっき2年の先輩に呼ばれて廊下出てったけど。好きな人でも思い出して上の空だったか?」

「…っ。盗み聞きとか趣味悪い!」

由佳はそう言ってそっぽを向いた。



「なぁ、それって恭ちゃんとかいう人?」



薫の一言に、由佳は驚いて目を丸くした。


「なん…で知ってるの…?」

「お前、自分が寝言でそいつの名前呼んでることも知らないんだな。」


そう言って薫は鼻で笑った。

由佳は固まったまま言葉が出なかった。
自分が知らないうちに寝言でそんなことを言っていたなんて――…。




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