嘘つきなポーカー 1【完】
―― 最近転校してきたあの先輩、超かっこいいよねー。小野寺くんに負けず劣らずってカンジ!
―― でもいつ見ても違う女子と一緒にいるし、ちょっとチャラくない?
―― そう言えば噂で聞いたけど、その先輩、結構ヤバい人たちと関わってるっていう噂があるらしいよ。
「やめときなよ。」
由佳は華代に言った。
「え?どうして?」
華代は驚いたような顔をした。
「女子たちが話してるの聞いたことあるけど、その先輩いい噂聞かないよ。」
由佳の言葉に、華代は少しムッとした。
「そんなのデマだよ!確かに見た目は派手だけど…私は先輩の優しいところいっぱい知ってる。由佳ちゃんは何も知らないでしょ?」
「そうだけど…でも火の無いところに煙は立たぬって言うし、そういう人はやめといた方が無難じゃないかな。」
由佳がそう言うと、華代は目を伏せた。
「私は由佳ちゃんが誰を好きになろうと応援するのに、由佳ちゃんは私のこと応援してくれないんだ…」
華代は沈んだトーンでそう呟いた。
「違う、私は華代のことを思って…」
「そんなの、余計なお世話だよ!」
華代は由佳の言葉を遮って叫んだ。
一瞬、クラスの人達が皆2人のほうに視線を向ける。
「由佳ちゃんなんか、嫌い。」
華代は俯きながらそう言い残して、教室の外へ走り去って行った。