嘘つきなポーカー 1【完】


文化祭の日がやって来た。

教室は朝早くから準備をするクラスメイトでごった返していた。
その中には、1人黙々と作業をする華代の姿があった。

由佳は声を掛けようか迷っていたが、昨日あんなことがあった後だったので、なかなか声を掛けられない。


その時、華代が由佳の姿を見て「あっ」と嬉しそうな顔をしてこちらに走ってきた。


良かった、あんまり気にしなくていいんじゃん――。


由佳がそう思って華代に応えようとした時、華代は由佳の横を通り過ぎ、由佳の後ろにいた薫に声をかける。


「小野寺くん、おはよう!準備しようよ!」


由佳のことなどまるで見えていないように華代は薫と話を続ける。


やっぱり、怒ってる――…。



由佳は黙って教室を出た。


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