嘘つきなポーカー 1【完】
辿り着いたのはあの非常階段だった。
華代がいてくれるなら文化祭というものに参加してもいいかな、なんてちょっと思っていたが、この様子ではどうやら無理そうだ。
由佳は非常階段で1人大人しく過ごすことにした。
「華代のためを思って言っただけなのにな…」
由佳は愚痴をこぼした。
確かに華代を傷付けたのかもしれないが、別に悪気があったわけではない。
そこまであからさまに避けなくても、と由佳は心の中で思った。
「ま、そのうちどうにかなるよね。」
由佳はそう言って、踊り場に寝そべった。
少し離れたところから生徒たちの賑やかな声が聞こえてくる。
あぁ、そう言えば今日なんか告白イベントがあるって言ってたな――…。
由佳はふと思い出した。
小野寺薫、誰かに告白されて付き合っちゃうのかな――…。
そう考えると、由佳はふと寂しさが沸いてくるような感じがした。
薫が誰かと付き合ってしまえば、もう一緒に過ごすことは出来ないだろう。
きっと何だかんだで、薫も失いたくない大切な友達になっているのかもしれない、と由佳は思った。