嘘つきなポーカー 1【完】
だが体育館は人でごった返している。
薫は本来の目的である、松葉杖をついた地味な女の姿を探そうとしたが、この人混みの中では見つけられそうもない。
「なぁ木村さ…」
薫は仕方なく、隣に居た華代に尋ねる。
「笠原が誰かにこのイベント誘われた、みたいな話とか聞いてないよな?」
すると華代の顔は一瞬にして不機嫌になった。
薫の予想通りの反応だ。
「知らないよ、そんなこと。でも由佳ちゃんに限ってそんなことないでしょ。」
薫はため息をついた。
「お前さ、好きな人否定されたぐらいで、笠原のこと見捨てんの?お前と笠原の関係って所詮そんなもん?」
「……。」
「それにあいつはお前のためを思って言っただけじゃねーの?」
呆れてそう言う薫に、華代は唇を噛んで答えた。
「違うの…。」
「何がだよ。」
「由佳ちゃんに、嫉妬してるの。」
「どういうことだよ。」
すると華代は話し始めた。