嘘つきなポーカー 1【完】


「私ね、先輩に大切な友達が居るって話をしたの。由佳ちゃんは私の自慢の友達だったから、こういう人なんだよって由佳ちゃんのことを誇らしげに話したの。」


そして、華代の顔が少し曇った。


「そしたらね、その日以来その先輩は私じゃなくて由佳ちゃんのほうに興味を持ち始めたみたいで、由佳ちゃんのことばっかり聞いてくるの。」

「……。」

「最初は先輩が由佳ちゃんに興味を持ってくれて、由佳ちゃんの良さを知ってくれて、とても嬉しかった。だけどね、だんだんとそれが醜い感情に変わっていくのを感じた。」

「……。」

「由佳ちゃんは大好き。だけど先輩のことも大好き。私は由佳ちゃんが羨ましかった。」

「……。」

「自分でも最低だって分かってる。だけどどうしてもその黒い感情を押し殺すことが出来なかった…。」

「……。」

「由佳ちゃんに先輩を否定された時、その感情が弾けた。もちろん罪悪感でいっぱいだし後悔もしてる。…だけど心の中でどこか由佳ちゃんを許せない自分がいる。」
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