嘘つきなポーカー 1【完】


「実はね、さっき例の先輩に振られちゃったの。そういうのは考えられないって。」

華代はえへへ、と無理に笑って見せた。


「そっか…」

「それでなんか目が覚めたっていうかさ。目の前の恋に夢中になるあまりに、大事なものを傷付けてることに気付いたの。」

「うん…」


「私、由佳ちゃんのこと失いたくない。由佳ちゃんは私にとって大切な友達だから。」


華代は由佳のことを真剣な瞳で見つめながらそう言った。


「……。」


由佳は何と言っていいか分からず、黙りこんだ。
こんな時、お礼を言えばいいのだろうか?


由佳が何と言おうか口ごもっていると、華代が続けて口を開く。



「それに、嫉妬して八つ当たりしちゃうような女なんて全然魅力的じゃないし、先輩になんか好きになってもらえないでしょ?」

「え…?」


由佳が聞き返すと、華代は泣きそうな顔で笑いながら言った。


「私、先輩のこと諦めないから!」
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