嘘つきなポーカー 1【完】
「ん?由佳ちゃん、どうしたの?」
華代が不思議そうに尋ねる。
その隣で、薫もその人物に気付き、表情を変えた。
そしてその人物も、こちらに気付いて驚いたような顔を見せる。
派手なメイク、服装、高いヒール。
その人物はコツコツとヒールの音を鳴らしながら、3人のもとへやって来る。
「あら、奇遇ね。」
礼子はそう言って、3人を順番に見た。
礼子とは、この前薫と一緒に居たときに偶然会ったっきりだ。
「こんなところに、何の用?」
冷たくそう尋ねる由佳に、礼子は答える。
「うちのお客さんが入院してるから、お見舞いに来ただけよ。」
礼子のその言葉に、由佳は少し苛立った。
「自分の娘のお見舞いは来ないのに、客のところには行くんだね。」
由佳が皮肉たっぷりにそう言うと、礼子は可笑しそうに笑った。
「あら?今日はずいぶん感情的。暫く見ないうちに、あんたも人間らしくなったのね。」