嘘つきなポーカー 1【完】
その時、由佳の腕がぐいと引かれ、由佳は宙に浮いた。
一瞬状況が読み込めなかったが、由佳はすぐにフードの男が自分を抱え上げていることに気付いた。
「ちょっ…何する…」
「説明はあとで。逃げるよ。」
その声はどこかで聞いたことがあるような気がした。
由佳は直感で、この人物が自分の味方であると何となく察した。
フードの男は由佳を抱えたまま、先程侵入してきた窓ガラスのほうに向かって走った。
「おいお前、何をする!」
背後で恭平が声を荒げて叫ぶのが聞こえた。
ヤバい、殺される―――…。
由佳はそう思いながら、恭平のほうを見た。