嘘つきなポーカー 1【完】


決定打を加えたのは薫だった。

薫の拳が見事に恭平の右頬に入ったかと思うと、恭平は地面にばたりと倒れた。

その上に、薫が馬乗りになる。


「勝負ありだ。」


息を切らしながら薫がそう言うと、恭平は全てを諦めたように両手を上げると、口を開いた。


「小野寺くん、君は知ってるかい?」

「何のことだ。」

「3年前、君たちのグループが拉致する計画を立てていた1人の少女のことを。」

「……そんなこともあったかもな。」


すると恭平は力無く笑い、答えた。


「…あれ、由佳だったんだ。」


恭平の言葉に、薫は大きく目を見開いた。






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